「骨盤がずれていると言われました」と不安がられる方が結構いらっしゃるので、理学療法士の立場から骨盤の関節の構造について書いてみたいと思います。
骨盤にある関節は2つで、腰のところにある仙腸関節と、前面を支える恥骨結合です。
この関節が動くのかどうかはずっと議論があり、実際どうなのかはハッキリしていませんが、今のところ2ミリ以下程度動くといわれています。
もちろん仙腸関節が2ミリ動けば、前面のASIS(上前腸骨棘)はもう少し大きな偏移があるかもしれません。
ただし、このズレの評価は結構難しいのではないかと思います。
ASISにしても骨の膨隆というだけで、一点ピッタリと決まっているわけではありませんので、押さえ方次第ではずれてしまいます。
さらに上下左右どの方向にどのくらい動いているのか評価しなければなりません。
私が一流だと思っている施術家の方でも、効き目を変えると評価が変わってしまうというくらいの微妙なものです。
個人的には、骨盤の評価は必須ではあるものの、一つのデータ程度に扱うのが適当かなと思います。
また、骨はそれ自体では動きませんので、骨盤が偏移していれば、その原因となる筋肉などの軟部組織があるはずです。
もし骨盤がずれているなら、それは結果であり原因ではありません。
例えば、中殿筋後部線維が寛骨を尾方に引くように緊張しているからPSISが少し尾側にずれているということはあるかもしれませんが、先に「骨盤がずれているから」というのはあり得ないわけです。
もし「骨盤がずれている」と言われたときには、どこがどのようにずれていてそれがなぜ原因なのか尋ねてみてほしいと思います。
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