膝が痛い方のお話を聞くと「軟骨がすり減っているから」と言われることがあります。
なんとなく、そういう情報を聞かれていらっしゃるのだろうと思いますが、事実はそうではありません。
上の図のブルーのところは膝関節内の痛覚神経の部位を示したものです(宗田大「膝痛 知る診る治す」メジカルビュー社、2009)。
これを見ると軟骨や半月板、靱帯の一部には痛覚神経が存在しないことが分かります。
つまり膝の痛みは軟骨ではないということです。
では、膝痛の原因は何でしょうか?
膝関節内で痛みを出すのは、関節包(膝蓋上包も含む)、脂肪体ということになります。
また関節外の組織が痛みを出す可能性も考える必要があります。
これは膝蓋腱、側副靱帯、内側広筋、鵞足の筋肉などさまざまな組織が考えられますので、それぞれをしっかり評価していかなければなりません。
もちろん、軟骨がすり減ることで、関節の角度が崩れたり、力の入り方が変わったりして、ほかの組織に影響を及ぼすのは間違いないと思います。
ただし、軟骨は直接痛みを出さないことを知っておいていただくと、むやみに心配することは減るのではないでしょうか。
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